BMWのボクサーツインエンジンとは

ボクサーツインエンジンと聞くと、なんだか洒落たイメージが思い浮かびますが、これは「水平対向エンジン」と呼ばれるエンジン形式の一つなんです。
水平対向エンジンは、初期の飛行機にも使われていたレシプロエンジンに属します。
エンジンの原理としては、中央のクランクシャフトをはさみ、シリンダーを左右に配します。

このシリンダーと対になるのがピストンで、お互いに左右で向き合う形で稼働することから、まるでボクサーが戦っているようなイメージを思い描いたわけです。
そのため、こうしたエンジンには、別名として、ボクサーツインエンジンと呼ばれるようになりました。
ちなみに、このエンジンを開発したのは、ベンツの創業者でもある、カール・ベンツその人でした。

BMW初のオートバイのR32誕生

BMWのバイクといえば、100年近く生産し続けているRシリーズは、あまりにも有名です。このRシリーズの始祖となるのが、「R32」というマシンで、ボクサーツインエンジンを搭載したオートバイでした。現在もなお、Rシリーズ現役マシンに、ボクサーツインエンジンが使われ続けているのは、ある種BMWのこだわりともいえるものです。このボクサーツインエンジンは、二つのシリンダーが一対となっているため、気筒数は必ず偶数になるわけです。現在は、2気筒から16気筒までの、ボクサーツインエンジンが使われています。

ボクサーツインエンジンのメリットとデメリット

なぜ、100年近くもの間、BMWはボクサーツインエンジンを使い続けているのか。
まずは、メリットとデメリットを、それぞれ見ていきましょう。

『メリット』
・左右のピストンが交互に動き、下死点と上死点で力を打ち消し合うため、エンジンの振動が極端に少ない
・低速や高速走行でも、振動が少ないため、ライダーが疲れにくい
・エンジンが簡単な構造ですむため、メンテナンスが非常に楽である
・エンジンの形が、左右のシリンダーが突き出た形になっているため、バイク転倒の際にも、ライダーが足を挟まれにくい

『デメリット』
・エンジンの幅が広いため、制約を受けやすい
・燃焼ガスを通すためのパイプを太くしなければならない
・シリンダー内面の潤滑油膜が不均一になりやすく、設計などを含めて、対応措置をとらなければならない

それでもボクサーツインを愛さずにはいられない

ボクサーツインには、それぞれに長所と短所が存在します。
ほかにも、デメリットとしては、パーツが増え過ぎてしまい、コスト高になりやすいことや、車幅が広くなることで、小回りが利かないなどがあります。
しかし、それでもBMWが、このボクサーツインにこだわり続けているのには理由があります。

それは、軽量でコンパクトにしやすいことと、エンジンが低重心で振動も少なく、走行が安定していることが挙げられます。
実はこのBMWと同様に、ボクサーツインエンジンにこだわり続けているメーカーもあります。
それは、日本のスバル車で、1966年に「スバル1000」を発売して以来、今もなおこのエンジンにこだわり続けています。