マルチコントローラーとはどんなものか?

バイクの世界にマルチコントローラーなるものが登場したのは、2009年頃からです。
バイクではコントロール機能がハンドルのさまざまな場所に配置されており、それぞれが半ば独立した形で機能しています。
ですから、ライダーはそれぞれの装置・ユニットを独自に操作しながらバイクをうまくコントロールする必要がありました。
こうしたユニットがバラバラに配置されているような状況を改善し、バイク情報などをコントロールする機能を一元的に管理・操作できるような仕組みを作れないか、というコンセプトから生み出されたのがマルチコントローラーなのです。

具体的にどのようなものなのかというと、もともとコントロール機能を左のハンドルバーグリップの内側に設置することで、このハンドルバーを握った状態でほとんどの操作を可能にしています。
このハンドルバーグリップの内側に設置されたコントローラーを上下に回転、あるいは左右に傾けるだけで操作できますから、直感的な操作が可能です。
不安になるのが誤作動ですが、多くのマルチコントローラーでは操作した際にクリック感が伝わってくるなど、きちんと操作を実感できる工夫が施されているのでそうしたリスクも最小限に抑えることができるのです。

実際にマルチコントローラーではどのような操作できるのか?

このマルチコントローラーのおもな役割は、位置情報(ナビ)やバイクの状態・情報をコントロールすることです。
現在どのあたりを走っているのか、バイクがどんな状態なのかを片手の簡単な動作だけで確認することができます。
こうした機能は独立したユニットで配置されており、各種情報を確認しようと思ったら面倒な動作を必要としたほか、視界を動かさなければならない問題を抱えていました。
位置関係を確認するためにちょっと前方から目を離した隙に対向車が表れて危険な状況に!といったことも起こり得たわけですが、マルチコントローラーならそんな心配もありません。

しかも操作によって必要な情報が音声データとして出力させることもできるため、操作だけでなく情報の確認の際にも視線を動かす必要がありません。
オーディオシステムにはBluetooth機能が組み込まれており、ナビゲーションも含む情報提供を音声で受けることができますし、ライダーだけでなく同乗者もその情報を共有することができるのでより安全・確実な運転がしやすくなります。
また、この音声のボリュームもマルチコントローラーで調節が可能です。

いろいろと便利な機能がつくようになったバイクですが、それゆえに操作が煩雑になってかえって危険になる、なんてことも見られるようになりました。
マルチコントローラーはそんな問題点を一気に解消できる優れたシステムと言えるでしょう。
今後のさらなる進歩と普及にも期待したいところです。